小沢一郎『小沢主義-志を持て、日本人』(集英社インターナショナル、2006年)を読み終える。

 若い人たちに語る政治論、リーダー論ということらしいが、特に読みごたえがあるとは思われず、なんとも残念。

 農業の自由化は正しく、小選挙区制導入による二大政党制実現への方向も正しく、さらに日本から国連に「兵」を出すことも正しいのだと。

 自民党批判なしに政権にはたどりつけないが、しかし、財界とアメリカの信任を得るためには、自民党政治の大枠をくずすこともできない。

 その構造的な制約が良く表れている。

 「兵」については、①自衛隊はあくまで防衛に専念し、海外の余計な疑念を排除する、②かわりに国連専用の部隊をまったく別に組織し、国連事務総長の指揮下におく、これは憲法にまったく抵触しないとするものである。

 とはいえ、先日の発言は、すでに、これとはかなりかわっているようである。

 派遣されるのは自衛隊そのものだし、派遣されるとしたISAF(国際治安支援部隊)は、まるで国連指揮下にはないのだから。

 これは、自民党とは別のやり方でのアメリカ軍支援の道の探究ではないか。

 民主党の政治論とは、この程度のものなのだろうか。