外観はクマのぬいぐるみそっくりなのだが,実はンミノタモ星地球侵略特殊工作部隊の隊長。

 エリート戦士である。

 ある時はフロンガス入りのヘアースプレーでオゾン層の破壊をたくらみ,またある時は植木を切り倒して地球の緑の絶滅をはかる。

 ただし,ぬいぐるみ大という大佐の体力の限界が,実行する作戦につねに悲しい規模の限界をつくる。

 それだけではない。

 ンノモタミ大佐にとり,自分より大きな地球の生物たちはすべてが巨大で手ごわい敵となる。

 ある時は犬にくいつかれ,ある時はネコにひっかかれ,ある時はニワトリに後頭部の連続痛打をゆるし,ウシにフンまみれにされることもある。
 
 それらの災難のたびに,大佐は目に力をこめ,「殺す」「ぶっ殺す」「地球上のすべての生物を殺す」「ンミノタモ星1の戦士をこんな屈辱的な目にあわせてタダですむと思うなよ!」と,こぶしをふりあげて誓いをたてる。

 だが,その誓いがはたされる日は決して来ない。

 目白花子『誰も眠らない夜』。

 研究室の本棚からひっぱり出して,これを読み返したのは10年ぶりくらいだろうか。

 何年たっても,面白いものは面白い。

 宇宙的規模での宿敵の名は,ダルマタ星地下工作員ヤオキ。

 その姿形は,偶然にも地球上のダマルとうりふたつである。

(以上,わがmixiページからの転載)

 ある時,このマンガを読んだ学生が,これって「みのもんた」ですよねとつぶやいた。

 なるほど,確かに「ンミノタモ星」も「ンノモタミ大佐」も,「ミノモンタ」の並べ替えなのである。

 まったく気がついていなかった。

 それをつぶやいた学生は,その後,中国地方で某証券会社に勤務し,結婚のために東海地方へ移住した。

 やはり10年ほども前のことである。

 マンガ一冊にも思い出がある。