5月23日の経済同友会・北城格太郎代表幹事記者会見,先日の日中政府への提言に関する質問が集中した。

 提言文書には疑問も多いが,それでも靖国問題の自主的解決を求めるほか,若者に過去の戦争を正視させるなど,小泉政権の姿勢に比べれば,一歩前向きに踏み込んだ内容になっている。

 自民党の内部からも,「アジア外交の改善が必要」ポスト小泉で 森前首相 といった声がたびたび聞かれるようになってきている。

 そこには中国・韓国にとどまらない リ・クアンユー元首相「靖国問題は不幸」 に見られるようなアジア各地からの強い批判と要望がある。

 問題解決への要望が,日本政府に強い影響力をもつアメリカに対して向けられてもいるところに,事態の急速な展開の大きな根拠があるのだろう(靖国問題「日本のためにならない」 米国防次官補代理)。

 記者の質問には,「提言後,同友会の方に,特に批判的な声や電話が寄せられている(と聞いている)が,身の危険を感じる,あるいは言論に対して挑戦的な反応があったりしたのか」というものがある。

 これに対して,氏は「賛否両論,電話や手紙等をたくさん頂いている」と述べたが,「身の危険」云々については,これをあえて否定しなかった。

 前代表幹事の小林陽太郎氏が小泉首相に靖国参拝自粛を求めた際に,同様のことがあったわけだが,もう少し冷静に議論ができないものか。