○6月13日は,朝からナヌム旅行関連など,いくつかメールのやりとりをして,授業の予習をやっていく。

 昼には,お願いしていた電気屋さんが家をたずねてくるが,水道の蛇口をジッと見つめて「この機種ではうまくとりつけられません」。

 だが,後になって,実際にはとりつけ可能なものがあることが判明する。

 仕切り直しということである。

○ドタバタと大学へ出て「比較経済論-拡大していく所得の格差」をしゃべる。

 あわせて,早めに学生たちによる授業評価アンケートも行なってみる。

 アンケートの手続きは簡略化されているようである。

 終了後,研究室でカップスープを食べ,小仕事を行い,5時20分には外に出る。

○車中「アメリカに見捨てられる日本の人」となりつつ,JR「大阪天満宮」へ。

 天神橋筋商店街をザクザク南へ歩く途中,「先生!」と呼び止められる。

 「何ごとか?」とふりむくと,先日,京都でお会いしたばかりのK川さん。

 グリーン会館あたりからの出撃だったのだろうか。

 しばらくいっしょに南へ歩いて,お別れする。

○6時20分には,今日の目的地エル大阪に到着する。

 大阪の各種平和団体の共催による,在日米軍基地問題の学習会である。

 神奈川にはアメリカ陸軍の新司令部が移転し,また陸上自衛隊の「中央即応集団司令部」がつくられる。

 まずは,その神奈川の平和団体がつくった「黙っていたら100年先も基地の街」というビデオを見る。

○つづいてイラクのフリー・ジャーナリスト,イサーム・ラッシードさんによる,イラクにおけるアメリカ軍の傍若無人ぶりの報告を聞く。

 映像は雄弁である。

 武装勢力などではない,小さな子どもをふくむ罪のない人たちが,命をうばわれ,肉親をうばわれ,家や故郷をうばわれ,自分の腕や足を奪われている。

 声をあげて泣く子どもの姿が心底悲しい。

 ファルージャでは全市民に米軍製IDカードの携帯が強要され,町全体が「刑務所」と化している。

 ラッシードさんご本人も3度米兵につかまり,拷問をうけたという。

 通訳は同じくフリー・ジャーナリストの西谷文和さん。

○最後に共産党の基地対策委員会責任者である小泉親司さんの講演がある。

 テーマは「米軍再編・最終合意は日本をどこへ導くのか」。

 1)世界のどこでもアメリカの戦争を自衛隊が補完するための合意。

 2)9条「改正」の突破口と位置づけられた合意。

 3)負担軽減でなく,負担のたらいまわしと日本の支出増の合意。

○圧巻は基地の再編・増強が強制された各地での,自治体ぐるみの反対運動の紹介。

 「戦車にひかれても反対」(相模原市長),「ミサイルを撃ち込まれても反対」(座間市長),千歳,苫小牧,小松……関係各地の保守の首長が取り組みの先頭に立っている。

 沖縄市・岩国市では基地問題を最大争点とした市長選で,基地増強反対派がすでに勝っている。

 岩国は安倍晋三氏の地元であり,そのてこ入れをはね返しての勝利である。

○政府間の勝手な「最終合意」にもかかわらず,地元住民の合意はまるでとれていない。

 9月には沖縄県の地方選挙,11月には沖縄県知事選,来年1月にはおそらく名護の市長リコール投票がある。

 マスコミが報じない大集会,市民の運動は,北海道から沖縄まで関係各地に無数にある。

 7月には神奈川で4万人の集会を計画中。小泉首相の地元である。

 政府間「合意」をくつがえす取り組みは,文字通りこれからとなる。

○質疑の中で選挙における「平和共同候補擁立」が話題の1つとなる。

 自民党員だが9条「改正」には反対,「構造改革」に賛成だが9条「改正」には反対。

 靖国参拝には賛成だが9条「改正」には反対……。

 多様な問題で多様な意見をもつ人々が9条「改正」反対にとりくんでいる。

 特定候補の応援が9条「改正」に反対する運動だとすることが,果たして運動の輪を広げることに本当につながるか。

 候補は,靖国にも「構造改革」にも消費税増税にも無言でいいということには,もちろんならない。

 それが,結果として,「私は9条『改正』に反対だが,あの候補者の応援はできない」。

 そういう人を特に保守派内部に大量につくる可能性はないのか。

 そこの配慮が不可欠だろう。