「上田知事 『従軍慰安婦いなかった』 資料館記述,検討の意向」(埼玉新聞)
「『従軍慰安婦いなかった』 埼玉知事 展示記述の修正表明」(しんぶん赤旗)
かつての「慰安婦」に対する新たな侮辱の言葉が,またしても日本の政治家によって,投げつけられた。
6月27日の埼玉県議会での話である。
県立の博物館と資料館の展示は「近代史を、政府や国に国民・県民が苦しめられ苦難に耐えた闇の時代のように描かれている」。
まずは,自民党小島議員がその内容を批判する。
そして「子どもたちや県民が学ぶ施設が、偏った内容でよいのか」と展示内容の見直しを要求。
これに対して上田知事はこう語る。
「東西古今、『慰安婦』はいても『従軍慰安婦』はいない。兵のいるところに(『慰安婦』が)集まってきたり、兵を追いかけて民間業者が連れていったりするのであって、軍そのものが連れて行くなんてことは絶対にない」。
加えて「従軍慰安婦」について「間違った記述があるので、修正しなければならない」と。
自分の気に入らない見解に「偏っている」の言葉をつかうのは,論理なき論者の常套手段である。
同時に,それは自分こそ偏ることを知らない天下の基準と語る,ご大層な傲慢の証明でもある。
とはいえ,その手の議論に入るまでもなく,軍の直接的関与については,軍や政府自身の資料で明々白々の事実といえる。
それは日本政府によっても認められている。
「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」(93年8月4日)。
この談話には次のような節がある。
「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」。
「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」。
また,内閣官房内閣外政審議会名で発表された,同日の調査結果「いわゆる従軍慰安婦問題について」は,より詳細にこれを語る。
いずれも,外務省の「アジア/戦後60周年」のページにあるものである。
今回の上田・小島両氏の議会におけるやりとりは,本当に質の悪い茶番といえる。
このような人間には,早々に政治の世界を去ってもらいたいものである。
次は,あるメールで受け取った,上田知事の抗議先。
どうぞ,みなさんご活用を。
抗議先:総務部広聴広報課広聴・知事への提言担当
Tel:048-830-2850 Fax:048-824-7345
E-mail:a2840-02@pref.saitama.lg.jp