岡本敏子(聞き手・篠藤ゆり)『岡本太郎』(アートン,2006年)を読み終える。

 副題は「岡本敏子が語るはじめの太郎伝記」。

 縄文式土器への熱中と,太郎がとった土器の写真の影響の強さは初めて知った。

 万博の太陽の塔と同時に描かれた巨大壁画「明日の神話」の運命についても同じである。

 それにしても,芸術であれ遊びであれ,物事に「夢中になれる力」の強い人である。

 そのエネルギーについて,太郎自身は次のように語っている。

 「やることがある,やりたいのなら,爆発する。それがエネルギーだ。

 やるから,エネルギーが生まれるんだ。

 エネルギーがあるからやるんじゃない」。

 「みんな,おかしいんだよ。ヘンに物理的に考えているんだ。

 枡みたいなものがあって,そこにエネルギーがだんだん溜まって,

 ここまできたら仕事をするとか,ここまで溜まったら爆発するとか考える。

 そんなんじゃないんだ」。

 確かに,手をつけてはじめてエネルギーのわき出す仕事は少なくない。

 生涯をながめて,自分の現在を乗り越えようとする衝動の強さに感心させられる。