経済同友会の外交・安全保障委員会が「新たな外交・安全保障政策の基本政策」を発表した。

 日米安保重視で,軍事力増強路線もそのままなのだが,それでも,いくつか面白い議論が登場している。

 1つは「過去の歴史問題についてはタブー視せずに,アジア外交に正面から向き合うことが必要である」という「我々の問題意識:経営者の意見」を,あらためて強調していること。

 2つは日米同盟を「コア」とするが,それだけではなく「多次元かつ多層的なネットワーク型の安全保障体制」が必要だとして,そこに繰り返し「国際連合」を位置づけていること。

 3つは「憲法第9条改正については,21世紀の世界と日本の平和と安定,反映を確保するために,日本が何をどこまでするべきなのか,そのための体制をどうするのか等の議論が先であり,それを踏まえて検討すべき」だと主張していること。

 以上3点は,いずれも安倍晋三『美しい国へ』に,少なからず抵触する。

 侵略戦争肯定,日米同盟一辺倒,はじめに改憲ありき。

 そんな政治で本当にこの先やっていけるのか。

 そういう声が,財界内部にも少なからずあるということらしい。

 財界全体の意思決定機関・日本経団連の文書とは区別して読む必要がありはするが。