庄田周平『昭和右翼史』(リッチマインド,1991年)を読み終える。

 頭山満にはじまるとされる「右翼史」の概説であり,

 彼らが引き起こした諸「事件」の紹介である。

 著者についての情報はまったくない。

 こちらの一番の関心事は,戦前の民族主義から,戦後の親米右翼への思想的転換の実態。

 しかし,それについては記述がたったの一行もない。

 1947年に戦後右翼の「親米博愛勤労党」が,参議院に当選者を出したといった情報はあるが。

 副産物として,公明党関係の情報がいくつか。

 1つは,紀元節復活運動のひとつの節目である建国記念日奉祝運営委員会の式典に,はじめて閣僚が出席した1981年,公明党はこれに祝電を打っていたとのこと。

 2つは,1979年の元号法に公明党が賛成していたこと。

 これまで注意することはなかったが,彼らの靖国史観への親近感は,案外,根深いものであるようだ。

 日本共産党『政治反動と右翼テロ』(同党,1974年)を読み終える。

 直接には,当時の宮本委員長,不破書記局長等への右翼による襲撃事件,襲撃未遂事件などの告発が中心だが,

 事件への理解を深めるものとして,大野達三「現代右翼・軍国主義団体の動向と性格」が収められている。

 130ページに及ぶ長文である。

 ①右翼の源流を「尊皇攘夷」に見るのは誤りである。

 ②戦後右翼は占領軍の情報・謀略活動の手先に組み込まれた。著名な右翼で占領と占領軍の政策に反対した者は1人もいない。

 ③戦後も数度のクーデター計画があり,かなり大規模な準備が行われた。60年安保時の自衛隊出動問題,三島割腹事件もそれにかかわっている。

 ④唯一親米を拒否した右翼「理論家」に小島玄之がいる。

 多くの情報,論点からのほんの一部の紹介である。

 松本文雄『司令部偵察機と富山』(桂書房,2006年)を読み終える。

 こちらは以前,金沢で買っておいたもの。

 開戦直後の1942年4月,早くも米軍による最初の空襲がある。

 敗色が濃くなるにつれ,空襲は激化していくが,これにともない,日本の軍需工場は「地方」への移転を余儀なくされる。

 そして,「安全」確保きために,これを巨大地下通路に埋め込む計画も実行に移された。

 ことは松代大本営だけではなかったのである。

 この本は,名古屋にあった三菱重工業航空機製作部門の,富山への移転と地下工場建設の実態を見る。

 巨大地下通路はいまも残り,その多くは,朝鮮人たちの強制労働によってつくられたものである。

 こちらは明日の「不二越裁判」学習会への予習のために読んだもの。