確定拠出年金は、年金保障それ自体を受け取る労働者の側にゆだね、最終保障の責任を回避するもの。

 その根本の問題にくわえ、確定拠出年金制度としての運用についても大きな問題があったということである。

 労働者への説明、「転職」時の企業側のフォローなど、一体どのようになっているのだろう。

 確定拠出年金、「運用放棄」7割増(日経新聞、7月16日)

 確定拠出年金(日本版401k)制度で資金を運用しながら転職などで手続きを忘れ、「運用放棄」と見なされている人が2006年度に8万638人いることがわかった。国民年金基金連合会の調べで判明したもので、前年度より7割程度増えている。公的年金の記録漏れが問題となるなかで、制度の運営がうまくいかないもうひとつの年金問題ともいえそうだ。

 日本版401kは加入者本人や企業が毎月一定額を出し、積み立てたお金を投資信託や債券などで運用する仕組み。加入者が年金資金の運用先を自己責任で選べるようにするとともに、企業側の運用負担などを軽減するのが目的だ。すでに欧米など海外では普及が進んでいる。