加藤駐米大使からの「警告」書簡は、6月22日付のものであった。
下院外交委員会での「慰安婦」決議可決が6月26日であるから、それは「警告」の作用を受けたうえでの可決であった。
となると、あとはこれがオープンにされたことにより、議会関係者をふくむ世論にどういう影響が出るかの問題となる。
本会議での議決は、7月30日から8月3日の間となるらしい。
匿名の国務省関係者からは、「警告」は状況悪化の要因になるという指摘も行われている。
慰安婦決議案 「日米に害及ぼす」 加藤駐米大使が警告(産経新聞、7月20日)
【ワシントン=古森義久】駐米日本大使が米国議会下院の枢要メンバーに対し、下院が慰安婦問題で日本を非難する決議案を採択すれば、日米関係に長期の有害な影響を与えるだろうという趣旨の書簡を送ったことが18日、米側マスコミにより報道された。なお同決議案の採決は日本の参院選の後になる見通しだという。
ワシントン・ポスト18日付は「日本が第二次大戦の性的奴隷に関する下院決議案に対して警告を発する」という見出しの記事で、加藤良三駐米大使が下院のナンシー・ペロシ議長ら議員数人に対し慰安婦決議案への反対を改めて訴え、もし下院本会議で採択されれば「ほぼ間違いなく日米両国間の深い友好、緊密な信頼、そして広範囲の協力に長期の有害な効果を及ぼす」と警告した、と報道した。
ワシントン・ポストは6月22日付の同書簡のコピーを入手したと報じ、加藤大使が「日米間の協力の具体例」としてイラクの安定化や復興をめぐる日本の米国への協力を指摘したことから、同決議案が採択されれば、日本は米国のイラク政策への協力も再考するだろう、という観測も伝えた。
ロイター通信も同大使の書簡を入手したとして、同様の趣旨を18日、報道した。在米日本大使館ではこういう大使書簡が下院の枢要な議員に送られたことを認めながらも、内容については論評できないとしている。
この報道に対し同決議案の提案者のマイク・ホンダ議員は「日米関係には影響はないと思う」と語る一方、同決議案の下院本会議での採決は日本への儀礼として29日の参議院選挙の後にする、と述べた。同議員は30日に採決される見通しが強いとも述べたが、下院民主党の院内総務ステニー・ホイヤー議員の補佐官は「上程の日程自体がまだ決まっていない」と語った。
慰安婦決議案に対しその採択が日米関係に悪影響を及ぼすという警告は米側ではダニエル・イノウエ上院議員が再三、発してきたが、それ以外にそうした懸念が表明されることはほとんどなく、米側マスコミの報道では今回が初めてとなった。
「慰安婦」決議案 日本の参院選後に採決 米下院 自民苦戦に”配慮”(しんぶん赤旗、7月20日)
【ワシントン=山崎伸治】「従軍慰安婦」問題で日本政府に公式な謝罪を求める決議案の米議会本会議での採決が、参院選で安倍政権与党の“苦戦に配慮”し、選挙後に行われる見通しとなりました。同決議案の提案者であるマイク・ホンダ議員が十八日付の米紙ワシントン・ポストで明らかにしました。