全国平均76.0%にたいして、兵庫県の職員充足率は67.8%にとどまっている。

 本部関係者から、地元の意見を聞いてほしいとの声が出ているのは当然である。

 大震災の教訓は、どうなっているのか?

 人員余裕なし 職員充足率67・8% 県内の消防本部(神戸新聞、9月22日)

 県内の各消防本部(消防局)で、国の整備指針が示す基準に対する職員の充足率は平均67・8%(二〇〇六年四月現在)で、全国平均の76・0%(同)を大きく下回ることが二十一日、分かった。指針に強制力はないが、多くの消防本部で出動人員に余裕がない状況が示された格好で、県は、消防本部の統合・再編(広域化)により消防力を強化する必要性を強調している。(森 信弘)

 同日、神戸市中央区の県災害対策センターで開かれた県消防広域化検討委員会(委員長・室崎益輝消防庁消防研究センター所長、十一人)で県が報告した。消防庁は、大規模災害に対応するため、都道府県に対し、人口三十万人をめどにした消防本部の広域化推進計画を定め、一二年までに実現するよう求めている。

 基準は、消防庁の整備指針に基づき、現有する機材などに対する職員数を設定。はしご車やポンプ車は五人、救急車は三人などとなる。車両が同時に出動する回数が少なければ人員を減らせる、としているが、管内の分署の数や地形などは考慮していない。

 充足率が低ければ、非番の職員の呼び出しが増えるほか、救急救命士など専門職を養成する余裕も失われる恐れがある。県消防課は会合で、広域化すれば総務部門を効率化して現場の要員を増やせ、初動対応に投入する部隊も増強できる-と強調した。

 これに対し、消防本部関係者からは「県内にはさまざまな地域があり、消防のあり方も違う。本部の組み合わせは、地元の意見を十分聞いて進めてほしい」などと不安の声が上がった。県は「人員や消防署は減らさず、市町合併とは違う。消防力を強化するためで、地域の事情も配慮したい」と説明した

 検討会は十二月に再編の具体的な組み合わせを含む中間報告をまとめ、県が三月に計画策定する。 

県内消防本部(局)職員充足率
(2006年4月1日現在)
下位5本部(局)
(31) 相生市 41・7%
(30) 養父市 44・4%
(29) 芦屋市 50・6%
(28) 淡路広域 50・7%
(27) 加東市 51・8%
上位5本部(局)
(1) 豊岡市 90・8%
(2) 神戸市 85・4%
(3) 伊丹市 76・8%
(4) 姫路市 73・6%
(5) 朝来市 72・5%
 ※姫路市は07年4月から、中播消防本部を解散した神崎郡の業務を受託