中南米の経済交流・共同をめぐる動きである。

 チリ、ボリビア、ブラジルに大規模輸送路がつくられ、北米自由貿易協定の一員でもあるメキシコが、南米諸国への「接近」を語っている。

 これが、それぞれに何をもたらすことになっていくのか。

 それを互いに調整する現場で、本当の「連帯」の精神が問われることになるのだろう。

 南米3カ国、統合を推進 ボリビア・チリ・ブラジル 道路事業に署名(しんぶん赤旗、12月18日)

 【メキシコ市=松島良尚】ボリビアの政府所在地ラパスで十六日、同国とチリ、ブラジルの三カ国首脳が太平洋と大西洋を結ぶ横断道路事業の覚書「ラパス宣言」に署名しました。目的は地域統合の推進と各国の経済発展です。

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 ボリビア国営通信などによれば、横断道路は大西洋に面するブラジル最大の貿易港サントスからボリビア東部サンタクルスやラパスなどを経て太平洋側のチリの二つの港、アリカとイキケを結びます。全長四千数百キロのほとんどは既存の道路ですが、大規模な輸送をふまえた拡張、改修工事が行われ、二〇〇九年に開通する予定です。

 各首脳は署名後、「この道路建設は三カ国間の統合と信頼の血管だ」(ボリビアのモラレス大統領)、「域内諸国の真の統合が前進する」(チリのバチェレ大統領)、「域内の一つ一つの国の将来はその他の諸国の将来と結びついている。近隣諸国に背を向けた発展は考えられない」(ブラジルのルラ大統領)と述べました。

 横断道路によって、ブラジルは太平洋側への輸出が容易になり、ブラジル、ボリビアからの物資輸送によってチリの港湾業務は活性化します。

 また、内陸国ボリビアにとって海への出口はチリに対する切実な要求でした。この問題をめぐって両国の外交関係は一九七八年以来途絶えていますが、バチェレ政権発足を機に話し合いが続いていました。

  メキシコ「南米と協力」 外相演説 メルコスル首脳会議(しんぶん赤旗、12月20日)

 【メキシコ市=松島良尚】南米ウルグアイの首都モンテビデオで開かれていた南米南部共同市場(メルコスル)の第三十四回首脳会議は十八日、「経済、貿易、政治、社会的な地域統合のきずなの強化」などを強調する共同声明を発表して二日間の日程を終えました。

 メキシコ紙ホルナダによると、首脳会議には未加盟の同国のエスピノサ外相が出席して演説。「メキシコはすべての中南米・カリブ海諸国との友情、協力、貿易のきずなを強くすることを提案している」と語り、南米諸国との協力を強める姿勢を示しました。

 北米自由貿易協定(NAFTA)加盟国であるメキシコが、南米への「接近」を主張したことは注目されます。

 共同声明は、新憲法草案をめぐって緊迫しているボリビア情勢をふまえ、「国民が選出した政府の安定性を傷つけようとするあらゆる意図と行動」を批判し、すべての政治勢力に対話を呼びかけています。

 首脳会議は、ベネズエラの正式完全加盟でメルコスルと地域統合プロセスが強まるという見地から、できるだけ早く加盟手続きを終える政治的意思も表明しました。同国の加盟をブラジルとパラグアイの国会がまだ批准していないことをふまえたものです。

 首脳会議には、準加盟国のチリ、ボリビアの首脳も参加しました。会議では、輸入関税率を示す関税コードの作成やイスラエルとの自由貿易協定締結も決めました。