角山栄『「生活史」の発見』(中央公論新社、2001年)を読み終える。

 副題は「フィールドワークで見る世界」。

 全体は著者自身の研究史の回顧となっている。

 大塚史学への反発が、

 マルクス主義経済史学への反発とピッタリ重なっているらしい。

 だが、こちらが経済史学を学び始めた最初には、

 マルクス主義自身が 

 大塚史学の方法論と史実理解への批判を重要テーマにかかげていた。

 生きた時代も、問題をとらえる角度も、

 人それぞれに多様だということである。

 肝心なのは、自身の到達点を、

 いつでも相対化しうる精神の柔軟性か。