12月14日は、8時起床の朝であった。
新参は、すでにプラレールに熱中しており、
ただちに、朝食をバクバク食べた。
くわえて、特殊栄養ドリンクも、
ゴクリゴクリと飲んでいた。
一呼吸おき、10時すぎには
一族そろって外に出る。
JR「加島」から「尼崎」へ、「三宮」へ、
ポートライナーで「ポートアイランド南」へ、
11時には、花鳥園に到着となる。
いつものようにトリをながめ、
今日の新参は、
はじめてサイチョウへのエサやりを試みた。
しかし、事件はそこで起こった。
本来なら、サイチョウは腕に乗せねばならない。
その用意がないうちに、
エサを見つけたサイチョウが、
新参の背後から左肩に乗る。
新参の肩は、そもそもせまい。
さらに、ビックリした新参が、
思わず肩をすぼめていく。
落とされまいとする
サイチョウは、右足をグイとひろげて、
新参の首筋に傷をつけた。
泣き声よ、天までとどけ
とばかりに大泣きする新参。
その一方で、しっかりとエサを食べ、
素知らぬ顔で飛び去るサイチョウ。

こうして、サイチョウへのエサやり初挑戦は、
新参の敗北および名誉の負傷をもって終結した。
係の方に、消毒薬と塗り薬をつけてもらった新参は、
となりのミミズク・コーナーでは、
すでにピタリと泣き止んでいた。
しばしの精神的動揺の時をへて、
新参は、ふたたび人生への
前向きな姿勢をとりもどす。
自分に危害をくわえようのない
小さなサカナは、
新参の心からの友であった。

12時半には、食事とする。
エプロンのゴムが傷にふれているが、
すでに何も気にならない。
食欲というのは、まったくもって偉大である。