『経済セミナー』4月号を読み終える。

 今月の特集は「経済学ガイダンス」である。

 ミクロ経済学・マクロ経済学の解説を土台に、各種分野の経済理論の概要や課題が述べられていく。

 特集に入る前の巻頭文「経済学を学ぶということ」は、経済学を「人間がいかに生きるべきか考える哲学をも包括する学問」「人間が人間として生きることを考えることが経済学だ」と語っている。

 筆者は神野直彦氏であり、共鳴できる文章である。

 だが゛一度特集の中身に入ると、非正規雇用の拡大、社会保障水準の低下など、人間らしい人の生き方を破壊している具体的な現実がどこにも登場しない。

 それどころか、経済政策は主観的な価値判断の問題であるととして、理論の内容からは遠ざけられているかに見える。

 両者のギャップは深く、大きい。