1ケ月ほど前に、NHKが4夜連続で、

 井上陽水の特集を放映した。

 これが、なかなか味わい深く、

 録画したものを、すでに、

 4回、5回と、ながめている。

 歌が好きなのは、もちろんだが、

 その人生やものの考え方にも

 引きつけられるところが少なくない。

 「禍福はあざなえる縄のごとし」。

 それほど「禍」(わざわい)の多い人生には見えなかったが、

 「禍」としてあらわされたものの中心には、

 新しい曲をつくることの苦しみがあるのかも知れないと、

 今夜は見ていてそう思った。

 同じ場所にとどまらず、

 前にすすもうとすることには、

 いつでも、大変なエネルギーがいる。

 おまけに、そこには、

 それができない自分はもうダメかも知れない

 という恐怖がまとわりつきもする。

 そんなあたりを勝手に想像すれば、

 この道を40年も走り続け、

 いまなお最前線で活躍するのは、

 ものすごいことだなと、あらためてそう思う。