小池真理子様『望みは何と訊かれたら』(新潮社、2007年)を読み終える。

 まとまった時間がとれる時期を待って、

 秋から机の上に置いてあったたもの。

 一気に読まないと、中に入り込む楽しさが味わえない。

 今回は、かつての破滅的学生運動の

 そのまた末路がひとつの舞台。

 幼く、残虐な「革命運動」への陶酔、

 リンチ殺人への遭遇と逃亡、

 隔離された生活の中での人格の弛緩、

 そして、30数年後の偶然がよみがえらせる弛緩の喜び、

 再び個人主義的な現実逃避へ……。

 本筋はある種のホラーといっていいのだろう。

 真理子様の才気と狂気が良く見える。