奥村宏『経済学は死んだのか』(平凡社新書、2010年)を読み終える。

 「マルクスやケインズを読んでそれを解釈するだけでなく、

 マルクスやケインズがそれをどのようにして研究したかということを学び、

 自分もそのような生き方をすべきである」(205ページ)。

 輸入学問の紹介や、過去の到達を解釈する経済学学でなく、

 目の前の現実を分析する経済学を生き返らせよ。

 そのように、著者がいうところはよく分かる。

 ただ、加えてほしいと思うのは、

 マルクスの生き方の根底にあった改革者としての精神の仙台。

 目の前の現実に突き進むマルクスの原動力は、

 何より、現実にある理不尽への怒りであり、

 その解決を導こうとする情熱だった。

 マルクスの研究成果をどう評価するにせよ、

 そこは多くの社会科学者に共有されてよい姿勢だと思う。